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失敗が強さの源

小学時代に読んだ、不時着パイロットの物語の続きを、「永遠の0」の内容を参考にして会話風味で想像してみる。
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米パイロット「いや〜、助かったよ。ラジオ作って聞いてたから退屈しなかったしな」
仲間「へ〜。でゼロファイターどうだった?」
パイロット「あいつら格闘戦操縦の鬼だな。まるでデビルだ」
仲間「デビルって?具体的には?」
パイロット「後ろをとろうと、ドッグファイト(巴戦)になったらいつの間にかゼロが視界から消えて、あっという間に後ろから撃たれたよ」
仲間「じゃあドッグファイトはしないほうがいいな。ゼロファイターに対抗できる戦闘機が出来るまで、しばらく上空からの一撃離脱作戦でいこう」
仲間「他の仲間にも、いまの話言っといたほうがいいぞ。上官にもレポートにして提出したほうがいいな」
パイロット「めんどくさいな。しかたないそうしとくか。俺以外が無人島に不時着したら、鉱石ラジオの作り方わからないだろうから、たいへんだしな」
仲間「???」


まあ、こんな感じだろうか。あくまでこれは私の創ったフィクションだが。ゼロにやられた失敗の経験が仲間に伝わり、次善策を考えていく土台となる。この程度ならまだ小さなことかもしれないが、こうした経験が蓄積されて、経験が情報にまで高められたら、それは大きな武器になったであろうことは想像に難くない。実際の現実がそれを物語っている。

5分間の本紹介で、ここまで長く喋れるわけはない。しかも、この本の紹介の中でわたしがもっとも喋りたかったテーマは、ここまでに挙げた「旧日本軍は失敗の経験を活かすことができなかった」ということではない。最も喋りたかったのは、宮部の様ないわば知性派が、戦闘機乗りのようないわば体育会系の武闘派の中に入って生きていかざるを得なかったというテーマである。

そのテーマについては、別の機会にゆずるとして、全然5分間では時間が足らずに、「ああこりゃダメだな」と思いながら、私はトークを終えた。質問タイムにはいったら、目の前にいた市長がすかさず手を挙げた。
市長曰く「この本から、現代のわれわれが一番学ばなければいけないのは何でしょう?」

あら〜、たかが5分のトークで、随分むつかしい質問をぶつけて来ますね。と、思いながら、とっさにわたしはメインのテーマのほうではなくて、「失敗の経験を生かすことをしなかった」ということの方を答えた。さらに言えば、それが当時最も優秀な軍学校で教育を受けた超エリート日本人によってなされたという事実をわれわれは思い返さなければいけないと答えた。

この答えは、日々の現場で教育者の端くれとして苦闘する者としての、とっさの反射であったかもしれない。市長は、分かったような、わからないような複雑な表情のままだった。まあ、わたしの5分トークを聞くよりも本書を読めば分かると思う。

と、書いてから思ったが、実は分かりにくいかもしれない。なぜなら、「永遠の0」にはこういった社会的なテーマ以外に命であるとか死であるとか、家族とか、さらには男と女の間の愛情の表現の仕方であるとか、とにかく涙が流れそうな物語がてんこ盛りなのである。涙をこらえて社会的テーマについて冷静に読み取るのは意外と難しいかもしれない。

2つ目に私にぶつけられた質問が
「永遠の0」のタイトルの中の「永遠」って何のことですか?
というもの。うお〜、これまた重いストレートを投げ込んできますね〜。

by aero_boy | 2013-09-26 17:33 | 本棚